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噂の風来坊メモ

[日記]
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1 ジャンゴジャンガ/ロウ風来坊 “普通” 2015年08月29日(土) 20時15分
「下らんな」
 セワシは言い捨てた。
「そうまでして自分を憎むくせに、奴のことは憎みきれないってか」
「・・・・・・」
 アリスの脳裏にかつての情景がこだまする。花を編んで作った王冠を頭にのせてくれた母。抱き上げてほほ笑んだ母。
「奴が見せた気まぐれの優しさにすがっているのか。つくづく馬鹿なやつだ。お前がそこまで強くなれたのは母親に愛されたからではない。憎まれたからだ」
「―――さい」
 アリスの強く噛み合った歯がギリリと鳴る。
「憎みも赦しもできない半端者め。そこまで迷いたいなら一生迷っていろ。そして死ぬんだ、愛憎を抱えてな」
「うるさいって言ってるのッ」
 アリスが身体をひねると同時に、握られた鋏が鞭のような腕に振るわれた。セワシは難なくそれをかわす。鋏は空を切り、壁に突き刺さった。

2 ジャンゴジャンガ/ロウ風来坊 “普通” 2015年08月30日(日) 16時11分
 その度にアリスは思うのだった。もし、少しでも自分に愛情を分けてくれたら、きっとこんな手段で憂さを晴らすことはなかったかもしれない。自分と同じ年頃の少女と同じように――音楽を聴いたり、友達と愚痴を言い合ったりして嫌なことを忘れただろう。
 だが、そうやって他人に責任を転嫁する姿勢こそが本当にアリスを苛立たせることに、本人は気が付いていない。アリスが何より許せないものは弱く情けない自分だ。他人のせいにして自分を見つめることから逃げる卑怯な自分を、心の底で彼女は憎んでいるのだった。それは他人にぶつける憎悪の比ではない。
 だから、こんな場所に来た。
 善悪など関係ない。いや、悪に身を染めて己の身を貶め潔白を汚すことが、アリスなりの自己蔑視の現われだったのか。
 いずれにせよ、自分で選んだ道によってさらに苦しめられることになったのは確かだ。外道に堕ちた己を蔑み、忌み嫌うことでさらに自傷行為は激しくなっていった。
2ゲット! 経験値が54ポイント上がった
レベルが2になった! <<クワッ>> をおぼえた!
<<マーライオン>> をひろった!

3 ジャンゴジャンガ/ロウ風来坊 “普通” 2015年08月31日(月) 00時16分
「そのくらいにしておいたら」
 いつの間にか部屋の前に立っていた蓬生が声をかけた。
「自分を嫌ってもいいことなんてない。そのくらいわかってるでしょ」
 そう、自己嫌悪など諸悪の根源でしかない。そんなこと、誰より当のアリス本人がよく知っている。しかし、だからといってどうすればいいのか。人は簡単に自分を許してやれと言う。だがそんな言葉を聞くたびにアリスはその気楽さにうんざりするのだ。生まれてこの方憎しみしか知らない人間が、自分や他人をどう許すというのか。アリスだってできることならそんな忌まわしいものは捨ててやりたい。だが、その方法がわからないのだ。そしてまたそんな自分を憎たらしく思うのを、誰も止めることはできない。
「そう、ね――」
 そう答えるしかなかった。
 ――でも、それしかないの、あたしには。
 友も家族もいないアリスに、頼るものは己の身一つというより自分を傷つける行為そのものだった。すぐそばに人のぬくもりを感じるのに。
 アリスは今日もまたみじめだった。
3ゲット! 経験値が40ポイント上がった
レベルが3になった! <<イヒヒ>> をおぼえた!
<<ダイス(1)>> をひろった!

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